アウトドア向け がっしりとした無骨なデザイン ナショナル クーガ7オーディオ機器
73年発売、価格は¥18500、10cmスピーカー、出力2.2W。
当時のナショナルの最大の競合モデルはソニーのスカイセンサー5500(72年発売、¥16800、12cmスピーカー、2.6W)であったかと思います。
同社は当時ワールドボーイGXOで従来の横型3バンドラジオのスタンダードともいうべき完成形の域に達しており、その後のヒットのためには他に無い斬新なデザインとギミックが必要だった筈です。
このモデルに前後して、音質重視を全面に打ち出した吠えろクーガ、弁当箱の様な2バンドのクーガ5等、類似モデルの全くないクーガシリーズはこんな背景から生まれたものと思います。
そんな中でこのクーガ7の特長は、ミリタリー調のデザインとホップアップ回転式のAMアンテナに有りました。デザインのアイディアは少し前のソニーのスポーツ11を参考にしたかも知れません。
当時はソニー調の都会的なクールで洗練されたデザインに心を奪われていた小生はこのモデルを初めて見た時、「なんてみっともない」と感じました。ホップアップのアンテナも「見てくれだけのギミック」と捉えたと記憶します。
しかし、50年近い歳月を経た今見るとこれも良いデザインです。小生の物を見る視野が多少広くなったのなら良いのですが。
又、ホップアップアンテナは実際の使用にも効果が大きく、ナショナルのこの後のモデルにも長く使われました。
音はルックスに似合ったどっしりしたもの。10cmスピーカーですが他社の12cmよりしっかりした低音が出ます。聴き疲れしない音である事も美点で、建築現場で大工さんが大きな音で鳴らしていた記憶があります。美音でも鋭い音質ではこの様な使い方は出来ません。
FM、AMの感度も良いと思いますが、この辺は既にGXOで達成されていたものです。
この個体、整備後は外観はとても綺麗です。過去此方で扱った数台の中ではベスト。
手持ちのコレクション用は海外仕様でさらに良い状態ですが、国内仕様でもこのモデルはワールドバンド。従いFM補完放送も聴けます。
唯一の欠点は調整はしたもののタイマーが動きません。
この点で、この状態としては価格は安めです。
個人的には3バンドラジオとしてはGXOの方が機械としての完成度が高いと思いますが、デザインとホップアップアンテナで此方を選んでも反対はしません。オリジナルのACアダプター付き。電池可。
アウトドア向け がっしりとした無骨なデザイン ナショナル クーガ7オーディオ機器